自信満々な「人は短時間でわかる」派のダメ面接官に、「人は短時間ではわからないぞ! もうちょっといろいろ聞いてみて判断してください」と主張し続けてください。
それだけで、面接の精度が変わるかもしれませんよ。
百戦錬磨の経営者や事業責任者などのいわゆる「偉い人」にも、「人は短時間でわかる」と言う人がいます。彼らは日々、情報が不十分でも素早い経営判断を求められています。
それができなければ職責に応えられないため、少ない情報でスピーディーにビシッと決断する意思決定スタイルになり、それを人と接するときにも適応しているのだと思います。
人は人と出会ったとき、短時間のうちに必ず何らかの印象を持ちます。
それこそ5分もあれば、「この人はこういう人なのかな」という具合に何かしらのイメージが浮かぶでしょう。
しかし、それはあくまでも自分だけの「仮説」であり、「真実」ではないのかもしれません。
面接は、このすぐできあがる「仮説」を候補者からさまざまなエピソードや意見、主張などを聞いて検証する作業であることを、多くの面接官がわかっていないのです。
抜群に秀でたスキルを持つ人は、ほかの能力も高く評価されやすいということです。
このほかにも多数あって、とにかく人の認知には「わなだらけ」なのです.
面接の精度はそれほど高くない
人を短時間で見抜くことなどできるわけがないと思います。
人を見る目が肥えてくれば(解像度が高くなれば)、面接の面白さは一変するはずです。
毎回が特徴あるパーソナリティーを備えた人との一期一会の場となります。
そのように捉えられれば、面接を面倒くさがってなるべく会いたくないなどとは思わなくなるのです。
自社の採用にとって何が一番良いかではなく、自分がいかにラクになるかで採用方法を検討しているのです。
効率的な採用活動は理想だが……
採用の鉄則「裾野広ければ、山高し」
実際に候補者と会う回数が増え、最終的に良い人材に多く入社してもらえる確率が高まるわけです。
「なぜ当社?」ではなく、「どのような基準で企業や仕事を選んでいるのか?」を聞くわけです。
さらに、「なぜそういう価値観を持つようになったのか?」も重ねて質問すれば、候補者のこれまでの人生を聞くことができ、より候補者のパーソナリティー理解に役立つでしょう。
同時に複数の企業の選考を受けていて自社はそのうちの一社という候補者は、そもそもまだ自社をはっきりと志望していない可能性が高く、「少し興味があるだけ」ということが大半でしょう。